近年、「血糖値スパイク」や「糖尿病予防」が注目されるなか、
食後の血糖値の変化を示す指標である GI値(グリセミック・インデックス) に関心が高まっています。
しかし、ネット上には次のような誤解も多くあります。
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「低GI食品ならたくさん食べても太らない」
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「GI値さえ見れば健康的な食事ができる」
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「GIは食品ごとに固定値」
本記事では、GI値を科学的に正しく理解し、
日常の食事に上手に取り入れる方法を、具体的な数値を用いて解説します。
1. なぜ今GI値が注目されているのか
1-1. 血糖値スパイクと生活習慣病の関係
食後の血糖値が急上昇し、その後急降下する現象を 血糖値スパイク と呼びます。
血糖値スパイクは、疲労感・眠気の増大、暴食の誘発、動脈硬化、糖尿病リスクなどと関連があることが分かっています。
血糖値スパイクの典型的な例として、白パン(GI 約70〜75)や清涼飲料水(GI 約65〜75)を摂取した場合が挙げられます。
1-2. GI値に関する誤解が多い理由
GI値は便利な指標ですが、
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食品の善悪を判断する指標ではない
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調理方法や食べる量で数値は変動する
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個人差が大きい
という特性があります。
そのため「低GI=健康によい」「高GI=悪い」という単純な見方は誤解を生みます。
2. GI値とは何か:科学的に正しく理解する
2-1. GI値の定義と代表的な数値
GI値とは、食品を摂取した後の血糖値の上昇スピードをブドウ糖(GI = 100)と比較した値です。
一般的な分類は次のとおりです:
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55以下:低GI
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56〜69:中GI
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70以上:高GI
代表的な食品のGI値は次のとおりです(いずれも目安値)。
| 食品 | GI値(目安) |
|---|---|
| 白米(精製米) | 80前後 |
| 食パン(白パン) | 70〜75 |
| うどん | 65〜70 |
| 玄米 | 50〜55 |
| オートミール | 55前後 |
| りんご | 35〜40 |
| グレープフルーツ | 25前後 |
| よく熟したバナナ | 55〜60 |
| スイカ | 70前後 |
| 牛乳 | 30前後 |
| 無糖ヨーグルト | 35前後 |
※ GI値は研究機関・測定条件により異なるため「目安」として利用ください。
2-2. GIとGL(グリセミックロード)の違い
GIは“スピード”を示す指標ですが、
実際の血糖上昇量は「GI × 食べる量」で変わります。
これを示すのが GL(グリセミックロード) です。
GL = GI × 含まれる炭水化物量 ÷ 100
● 具体例
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スイカ(GI 約72)
1食の炭水化物量:6g → GL = 72 × 6 ÷ 100 = 4.3(低GL) -
白パン(GI 約75)
1食の炭水化物量:40g → GL = 75 × 40 ÷ 100 = 30(高GL)
つまり、
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GIが高くても“量が少なければ”血糖値への影響は小さい
-
同じGIでも“食べる量”で大きく変わる
ということです。
2-3. GI値は食品ごとに固定ではない:調理法や熟度で変化
GIは“条件によって変わる”という特性があります。
● 調理時間による例(パスタ)
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アルデンテ(やや硬め):GI 約50〜60
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よく茹でたパスタ:GI 約70〜80
● 熟度による例(バナナ)
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未熟バナナ:GI 約45前後
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熟したバナナ:GI 55〜60
● 精製度による例(米)
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白米:GI 80前後
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玄米:GI 50〜55
こうした差があるため、GI値は「目安」として使うのが正しい姿勢となります。
3. GI値が低い食品のメリット
3-1. 食後血糖値の急上昇を抑える
低GI食品は血糖値の上昇が緩やかになり、
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眠気・だるさの軽減
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過食の抑制
に役立ちます。
3-2. インスリン負担の軽減
GIが高い食品を食べると、インスリンが大量に分泌され、
これが繰り返されると糖尿病のリスクが高まります。
低GI食はこの負担を和らげます。
3-3. 空腹感の抑制・ダイエット効果
GI値の低い食品は血糖値が急降下しにくいため、
食後の「急な空腹感」を防ぎ、ダイエットにも有益です。
4. GI値の“落とし穴”:注意すべき6つのポイント
GI値は便利な一方、次のような注意点があります。
4-1. GIは「量」を反映しない(GLを見る)
GIが低くても、高カロリー・大量摂取では血糖値は大きく上がります。
4-2. 調理法・熟度でGIは変わる
同じ食品でも、ゆで時間・熟度・加工状態で
「高GI ↔ 低GI」が簡単にひっくり返ります。
4-3. 低GIでも高カロリーの食品がある
例:ナッツ、ダークチョコレート(GIは低いが、脂質が多く高カロリー)
4-4. 食事全体の組み合わせでGIが変わる
たんぱく質や食物繊維を含む食事と一緒に食べるだけで、
GIは実質的に低下します。
4-5. GI値は研究ごとにバラつく
測定条件が異なるため、完全な固定値ではありません。
4-6. “低GI加工食品”が健康とは限らない
低GIでも、
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高脂質
-
高カロリー
-
添加物が多い
といった商品もあります。
5. 明日からできる!GI値を活用した食事のコツ
5-1. 主食を「白→茶色」へ置き換える
| 主食 | GI値(目安) |
|---|---|
| 白米 | 約80 |
| 玄米 | 約55 |
| 白パン | 約70〜75 |
| 全粒粉パン | 約50〜55 |
| オートミール | 約55 |
5-2. 食べる順番を工夫する
野菜 → たんぱく質 → 主食
と食べると吸収がゆるやかになり、血糖値が急上昇しにくくなります。
5-3. 間食はGIとカロリーの両方を見る
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ナッツ(GI 約15〜25、ただし高カロリー)
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ヨーグルト(無糖:GI 約35)
-
ダークチョコ(GI 約25〜30)
GI値だけにこだわると逆に太る可能性もあります。
5-4. 加工食品より“素材に近い食品”を選ぶ
精製が進むほどGIは上がる傾向にあります。
茶色い食品、繊維質の多い食品を選ぶと良いでしょう。
6. GI値の低い食品リスト(保存版)
6-1. 主食類(低〜中GI)
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玄米:GI 約55
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雑穀米:GI 50〜55
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全粒粉パン:GI 約50〜55
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全粒粉パスタ:GI 約45〜50
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オートミール:GI 約55
6-2. 野菜・果物のGI値(目安)
● 低GI野菜
ほとんどの野菜は GI 20〜35程度。
● 果物(代表値)
| 果物 | GI値(目安) |
|---|---|
| グレープフルーツ | 約25 |
| りんご | 35〜40 |
| ベリー類 | 25〜35 |
| バナナ(熟) | 55〜60 |
| スイカ | 70 |
6-3. たんぱく質食品(ほぼ低GI)
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肉・魚:GI ほぼ0
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卵:GI 0
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豆腐:GI 約15
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納豆:GI 約33
6-4. 間食・デザート
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ナッツ類:GI 15〜25
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無糖ヨーグルト:GI 約35
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ダークチョコレート:GI 約25〜30
7. まとめ:GI値は“上手に使う”のがポイント
GI値は健康管理の強力なツールですが、絶対視するのではなく、
「目安」として上手に使う ことが重要です。
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GIは“スピード”の指標
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GL(GI × 量)は“実際の上昇量”
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調理法・熟度・精製度で数値は大きく変わる
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食事全体の組み合わせで吸収速度が変わる
日常生活に少し取り入れるだけで、
血糖値の安定、体重管理、健康維持に大きな効果が期待できます。
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