「紫外線は百害あって一利なし」。そう思って、夏でも長袖、日傘、サングラスで完全に遮断していませんか?
あるいは逆に、「健康のためには日光浴が必要だ」と、無防備に日差しを浴びていませんか?
実は、最新の研究データを見ていくと、どちらも「正解であり、不正解」であることがわかってきます。紫外線対策で最も重要なのは、「浴びるべき場所」と「守るべき場所」を明確に分ける「選択的ガード」です。
今回は、環境省や眼科学会などの公的データを元に、ビタミンDのメリットを享受しながら、肌と目の老化を徹底的に防ぐ「賢い紫外線対策」について解説します。
1. 紫外線を「ゼロ」にしてはいけない理由(ビタミンD)
まず、紫外線のメリットから整理しましょう。最大のメリットは「ビタミンD」の生成です。ビタミンDは、骨を強くするだけでなく、免疫力の向上やメンタルヘルスの維持にも関わる重要な栄養素です。
「じゃあ、やっぱり日光浴が必要なの?」と思いますよね。ここで重要なのが「必要な時間」です。
国立環境研究所の研究データによると、健康維持に必要なビタミンDを作るために必要な日光浴の時間は、私たちが想像しているよりもずっと短いことがわかっています。
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夏(7月):
木陰で数分〜10分程度
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冬(12月):
数十分〜1時間程度
(※地域や天候により異なりますが、直射日光である必要はありません)
つまり、日常生活で洗濯物を干したり、通勤したりする程度の時間で十分な場合が多く、あえて長時間、肌を焼くような日光浴をする必要はないのです。
2. それでも「顔と首」を死守すべき理由:光老化
必要な紫外線量はわずかですが、それを超えた分はすべて「害」になります。特に恐ろしいのが、環境省の『紫外線環境保健マニュアル』でも警告されている「光老化(ひかりろうか)」です。
環境省:紫外線環境保健マニュアル2020 [PDF3,651KB]
肌の老化(シミ、シワ、たるみ)の原因の約8割は、加齢ではなく紫外線によるダメージだと言われています。
特に「顔」や「首」は、皮膚が薄く、常に外に出ているためダメージを受けやすい場所。ここで重要な戦略はこうです。
「ビタミンDは、シワになっても気にならない『手のひら』や『足』で稼ぐ。顔と首は徹底して守る」
これが、健康と美容を両立させる最適解です。
3. 意外な盲点!「目」へのダメージは蓄積する
肌のケアはしていても、見落とされがちなのが「目」です。日本眼科学会などの資料によると、目は紫外線の影響を非常に受けやすい臓器です。
① 目のダメージは「リセット」されない
肌はターンオーバーで生まれ変わりますが、目のレンズにあたる水晶体は代謝しません。つまり、子供の頃から浴びた紫外線ダメージは一生蓄積され続け、将来の「白内障」などのリスクを高めます。
② 目から入る紫外線で「肌」が焼ける?
さらに衝撃的な研究があります。大阪市立大学(現:大阪公立大学)の研究チームによると、「目に紫外線を当てただけで、全身のメラニンが増加した」というマウス実験の結果が報告されています。
目から入った強い紫外線刺激に対し、脳が「日差しが強いぞ!体を守れ!」と指令を出し、直接紫外線を浴びていない肌まで黒くしてしまう可能性があるのです。
つまり、「サングラスは、目を守るだけでなく、美肌を守るためのツール」でもあるのです。
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4. なぜ、日焼け止めより「物理ガード」なのか?
ここまでで「顔・首・目」を守ることの重要性は伝わったかと思います。では、どう守るか。
もちろん日焼け止めも有効ですが、日本皮膚科学会のQ&Aなどでも示唆されている通り、日焼け止めには弱点があります。
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塗る量が足りていない人が多い(表示通りの効果が出ない)
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汗や摩擦で落ちる(こまめな塗り直しが必要)
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目の中には塗れない
そこで推奨したいのが、「UVカット機能付きの衣類(パーカー、カーディガン)」と「サングラス」による物理的遮断です。
物理ガードのメリット
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確実性:
着用している限り、効果が薄れることがない。
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時短:
塗り直しの手間が不要。
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安全性:
肌への化学的な負担がない。
特にサングラスに関しては、真っ黒なレンズである必要はありません。むしろ色が濃すぎると瞳孔が開いてしまい、隙間から入った紫外線を多く取り込んでしまうリスクがあります。「UVカット率(または紫外線透過率)」がしっかり記載された、薄い色のレンズのものを選ぶのが、日常使いしやすくおすすめです。
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まとめ:賢い装備で太陽と付き合う
紫外線対策の結論は以下の通りです。
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ビタミンD生成:
「手のひら」などで数分〜十数分浴びれば十分。
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顔・首・目の防御:
老化や病気のリスクが高いため、徹底ガードが必要。
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対策ツール:
塗り直し不要で確実な「UVカット衣類」と「サングラス」が最強の選択。
「健康のために浴びる」のと「無防備に浴びる」のは違います。
これからの季節、UVカットパーカーを羽織り、お気に入りのサングラスをかけて、賢く安全に太陽の恩恵を受け取りましょう。
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