関東を代表する「厄除け弘法大師」
古くから「厄除けのお大師さま」として関東一円の人々に親しまれているのが、真言宗智山派の大本山、川崎大師平間寺(へいけんじ)です。
一年を通じて多くの参拝者で賑わうこのお寺は、特に新年や厄年の時期には、その活気が最高潮に達します。今回は、川崎大師の深い歴史から、参道の賑わい、そして絶対に外せない名物土産までを徹底ガイドします。
成り立ちと「厄除け」信仰の歴史
川崎大師の歴史は、約900年前にさかのぼります。
1. 悲運の武士と弘法大師像
創建は大治3年(1128年)。時の武士である**平間兼乗(ひらまかねのり)**は、故あって長年の厄災に苦しんでいました。ある夜、夢枕に立った高僧(弘法大師)のお告げに従い、海中に沈んでいたご尊像を引き揚げます。
このご尊像こそが、弘法大師空海が自ら彫られたという尊い像でした。兼乗はこの像を深く信仰し祀ったところ、長年の厄がたちどころに除かれたといいます。
2. 「平間」寺の名の由来
この出来事から、人々は「厄を除いてくれるお大師さま」として信仰を深め、兼乗の姓をとって**「平間寺」、そして親しみを込めて「川崎大師」**と呼ぶようになりました。これが、川崎大師が「厄除けの聖地」として確固たる地位を築いた背景です。
現代の境内と見どころ
広大な境内には、信仰の中心である大本堂をはじめ、様々な建物が建ち並びます。
大本堂(ご本尊): 厄除けの中心となる場所です。現在の大本堂は昭和52年(1977年)に落慶し、多くの参拝者がここで厄除けの護摩祈祷を受けます。
八角五重塔: 昭和59年(1984年)に建立された、朱塗りが鮮やかなシンボル的な建物です。八角形は「八方除け」に通じるとされ、災いを除き福を招く意味が込められています。
不動堂・薬師殿: 境内には他にも、健康や病気平癒を祈る薬師殿など、様々なご利益を求めて参拝できる場所があります。
賑わいの参道「仲見世通り」
川崎大師の参拝の楽しみの一つが、駅から続く仲見世通りの散策です。
この通りには、老舗の土産物屋や飲食店が軒を連ね、活気ある声が飛び交っています。特に注目したいのが、通り全体に響き渡る独特な音。それは、川崎大師名物の**「とんとこ飴」**を作る職人さんの音です。
飴を冷やしながら、リズミカルに「トントン」と小気味よく包丁で切り分ける音は、仲見世通りの代名詞とも言えるBGM。この音を聞くだけで、お大師さまに来た実感がわいてきます。
欠かせない名物土産
参拝の記念に、ぜひ手に入れたい川崎大師ならではの名物をご紹介します。
1. とんとこ飴(せき止め飴)
先述の通り、仲見世の主役です。この飴は、単なるお菓子ではなく、古くから咳止めや喉の薬として親しまれてきた歴史があります。職人さんが独特のテンポで切ることで、飴が適度な温度と硬さに保たれ、美味しく仕上がるのだとか。様々な風味がありますが、昔ながらの生姜やニッキの風味が特におすすめです。
2. 久寿餅(くずもち)
東京や神奈川の和菓子として知られる久寿餅は、川崎大師の土産としても定番です。小麦粉を発酵させて作る独特な食感が特徴で、黒蜜ときなこをたっぷりかけていただきます。日持ちはしませんが、参拝後すぐに買って帰る価値のある逸品です。
3. 縁起だるま
厄除けのご利益にあやかり、川崎大師では様々なサイズのだるまが販売されています。魔除けや開運の縁起物として、お正月や節分以外でも一年中人気のお土産です。
初詣の規模:全国トップ3の参拝者数
川崎大師の信仰の深さは、正月の初詣客数を見れば明らかです。
川崎大師は、毎年正月三が日で300万人前後の参拝者を集めます。これは、全国の寺社の中でも常にトップクラスの数字です。
全国トップクラスの初詣人出
明治神宮(東京都)
成田山新勝寺(千葉県)
川崎大師(神奈川県)
例年、この3つの寺社が全国の初詣客数ランキングのトップ3を占め、浅草寺(東京都)や伏見稲荷大社(京都府)といった有名寺社と肩を並べ、または上回るほどの賑わいを見せています。この数字からも、いかに川崎大師が関東の人々にとって特別な存在であるかが分かります。
厄除けと歴史のパワーを感じる旅
川崎大師平間寺は、ただ厄を払うためだけでなく、900年の歴史の重み、そして参道の賑わいという文化的なパワーを五感で感じられる場所です。
ご利益あふれる参拝を済ませたら、活気ある仲見世で名物の「とんとこ飴」の音に耳を傾け、美味しい久寿餅を堪能する――。次の週末は、歴史と活気が共存する川崎大師へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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