この記事では、日本の最も重要な神社のひとつである伊勢神宮と、20年に一度行われる壮大な祭典「式年遷宮」について、その意味や歴史、そして行事の流れを詳しく解説します。
🌟 そもそも「伊勢神宮」ってどんなところ?
まず、式年遷宮の舞台となる伊勢神宮(正式名称:神宮)の基本的な情報からご紹介します。
伊勢神宮は、特定の建物や境内を指す名前ではなく、内宮(ないくう)と外宮(げくう)を中心とした125の社(やしろ)の総称です。
| 名称 | 祀られている神様 | 概要 |
| 内宮(皇大神宮) | 天照大御神(あまてらすおおみかみ) | 日本の皇室の御祖神であり、太陽にも例えられる最も尊い神様。 |
| 外宮(豊受大神宮) | 豊受大御神(とようけのおおみかみ) | 食物や産業の恵みをお司りになる神様。 |
伊勢神宮は「お伊勢さん」として古くから親しまれ、日本人の心のふるさととも呼ばれています。
⛩️ 「式年遷宮」とは?基本と意味を知る
「式年遷宮」とは、定められた年限(伊勢神宮では20年)ごとに、御殿や御装束神宝(おしょうぞくしんぽう)をすべて新しくし、御神体を新しい社殿へお遷しする(うつす)一連の儀式・行事のことです。
1. 式年遷宮の目的
「常若(とこわか)」の思想:
古くなったものを一新し、常に清らかな状態に立ち返ることで、神様の生命力や神威を永遠に保つという、伊勢神宮の根幹をなす思想です。
技術の伝承:
宮大工や工芸職人が20年ごとに建築・工芸技術を継承することで、古来の日本建築の様式(唯一神明造)や伝統技術が途絶えることなく受け継がれています。
2. 歴史:1300年を超える壮大なサイクル
式年遷宮は、飛鳥時代の持統天皇(じとうてんのう)の時代、690年に第1回が行われて以来、戦時中の一時中断を除き、約1300年もの間、繰り返されてきました。
直近では、2013年に第62回の式年遷宮が斎行(さいこう)されました。次回は2033年となる予定です。
🗓️ 式年遷宮:具体的な行事の流れ
20年という長期にわたる式年遷宮は、ただ社殿を建て替えるだけでなく、遷宮の前後を通じて約8年間、大小さまざまな儀式が執り行われます。
1. 準備の段階(遷宮の約8年前から)
山口祭(やまぐちさい):
新しい社殿の用材を切り出すにあたり、山の神様に感謝と安全を祈るお祭りです。
木遣り(きやり):
切り出された用材を神宮まで運ぶ際、勢いをつけ、安全を祈願しながら木材を曳き運ぶ行事です。
2. 社殿建設の段階
地鎮祭(じちんさい):
新しい御殿を建てる敷地を清め、工事の安全を祈る儀式です。
上棟祭(じょうとうさい):
社殿の骨組みが完成したことを祝い、建物の堅固を祈る儀式です。
3. 遷御(せんぎょ)— 最も重要な儀式
遷宮の中心となるのが「遷御(せんぎょ)」です。
時期:遷宮の年(20年目)の秋。外宮、内宮の順で行われます。
内容:
厳重な警護と秘儀の中、古い社殿(旧殿)に鎮座されていた御神体が、新しく建てられた社殿(新殿)へとお遷りになる(おわたりになる)儀式です。この瞬間から、新殿が神様の新しい場所となります。
4. 遷宮後の段階
大御饌(おおみけ):
新殿にお遷りになった神様に、最初にお食事を捧げる儀式です。
✨ まとめ:式年遷宮が私たちに伝えること
式年遷宮は、単なる建物の建て替えではありません。それは、日本の精神的なルーツを常に新しく保ち、自然の循環や神様への畏敬の念を次世代へと伝える、壮大で貴重な文化遺産です。
伊勢神宮を訪れる際は、この20年に一度の営みに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
次回の式年遷宮は2033年の予定です。
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